2014年3月23日日曜日

裁判をする意味について

今日は裁判をする意味について書こうと思います。

依頼者にとって、弁護士に依頼する目的は、貸したお金を返してほしい、慰謝料を支払ってほしい、賃料を支払ってほしいなど様々です。

そのために、弁護士に依頼して、事案によっては裁判にとって問題を解決します。
弁護士は、裁判をするにあたり、証拠を集め、裁判官を説得し、勝訴に向けて活動します。

また、法律相談では、裁判になった場合を念頭に置いて、「このような証拠があれば裁判で認められやすいですよ」「このような判例があるので裁判ではこのように判断されます」とアドバイスすることもあります。

もっとも、ここで注意が必要なことは、裁判をする目的は裁判に勝つこと自体ではない、ということです。裁判の目的は、依頼者が弁護士に依頼した当初の目的である、貸したお金を返してもらうこと、慰謝料を支払ってもらうこと、賃料を支払ってもらうことなどです。
仮に裁判に勝ったとしても、それを回収できないと意味がありません。 つまり、裁判をする目的は裁判に勝って勝訴判決をもらうことではなく、実際に相手方に対してお金を支払ってもらうことです。
裁判はそのための手段のひとつであって、目的ではありません。

事案によっては一方的に支払い請求する「裁判」よりも、示談交渉による和解や調停といった「話し合いによる任意の支払い」を促したほうが得策なこともあります。
相談者や依頼者が抱える問題に応じてそれを解決する最適な「手段」を選択することが重要だと考えます。

「裁判は目的達成の手段であって、裁判で勝つこと自体を目的にすべきでない。」

私が裁判で勝てるかどうかでを重視していた際に、先輩弁護士であるK先生に教えられた言葉です。

これからも依頼者の真の目的はなにか、問題解決に必要な手段はなにかを常に意識しながら、「依頼者の満足」を第一に考えて活動をしていきたいと思います。

2014年3月3日月曜日

交通事故と損害賠償請求について

今日は交通事故について書きたいと思います。

不幸にも交通事故にあわれた場合には、被害者の方々には様々な損害・不利益が生じます。少し長くなりますが、以下で各損害についてご説明致します。

交通事故にあわれた場合、被害者の方は重い傷害を負うことが多く、手術や入院が必要になったりと治療費が多額になるケースが多いです。

しかも、事故当時の外傷に加えて、事故後に後遺症が残ることもあり、被害者の方のその後の生活に対して大きな影響を与えることもあります。今までの仕事を続けることができなくなったり、仕事の内容を変更せざるをえなくなったりして、将来に渡って給料が減ることもあります。

さらに、治療や後遺症のために仕事を休まざるをえなくなり、その間の給料が得られなくなります。

また、被害者が不幸にもお亡くなりになった場合には、将来得ることができたはずの給料等を失うことになります。
本来であれば仕事をして給料をもらい、家族や両親を養うことができたのに、そのような機会を完全に失うことになります。
また、遺族の方々のその後の生活に大きな影響を与えることになります。

さらに、被害者の方は、傷害、後遺症、お亡くなりになったこと自体について、精神的損害も受けます。従いまして、相手方に対してその分の慰謝料を請求できます(お亡くなりになった方の慰謝料請求権は遺族の方々に相続されます)。

そして、当然のことながら、自動車が損壊した場合には、その修理費評価損代車費用がかかります。
自動車を使用して事業をしていた場合には、他に遊休車がない場合、修理期間中に使えないことによる損害(休車損)を受けます。

ここで注意が必要なのは、修理費用が自動車の市場価格(+買替諸費用)を上回る場合です。この場合は「経済的全損」となり、自動車の市場価格と売却代金の差額(買替差額)の範囲で損害賠償を請求できるにとどまります。

自動車の市場価格は、レッドブックの価格を踏まえつつ、中古車の専門雑誌やインターネット上の中古車販売情報等により、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離・装備の車両の価格を参考にして判断されます。

以上のように、交通事故で被害にあわれた場合には、被害者の方々には精神的・肉体的に傷を負うだけでなく、経済的にも様々な損害を被ることになります。

もっとも、現在では自動車保険が一般的に普及しており、以上のような損害は保険により回復されるとも思われます。

しかし、加害者や保険会社が素直に治療費などを支払ってくれればよいのですが、「悪いのはそっちだ」「被害者にも過失があった」などと主張して治療費などを十分に支払ってくれないこともあります(過失割合の問題)。
また、治療費の額や後遺障害の等級を争って、治療費や慰謝料などを十分に支払ってくれないこともあります。
この場合には、医療機関や修理会社から治療費や修理費用を請求される上、加害者や保険会社が治療費や修理費用を払わないので、被害者の方は困難な状況に陥ってしまいます。

不運にも交通事故にあわれた上、その後にも交渉等で不利益を受けることは、断じて許せません。
私は、被害者の方々が交通事故により受けた精神的・経済的、そして経済的な損害を出来る限り回復できるように、損害項目ごとに適切な証拠を収集し、加害者や保険会社と粘り強く交渉致します。

交通事故にあった場合にどのような損害について賠償請求できるのか分からない、加害者や保険会社が損害賠償金を十分に支払ってくれないといったことでお困りの方は、弁護士にご相談されることをお勧めします。

以下では、交通事故で被る代表的な損害を参考までにまとめておきます。詳しい内容は、当事務所のホームページ上の「取扱業務→交通事故」をご覧になるか、弁護士までご相談下さい。


(参考)交通事故における代表的な損害

人的損害

① 治療費・入院雑費・通院交通費
  
② 休業損害  
    
③ 後遺障害による逸失利益  

④ 死亡による逸失利益  
       
⑤ 慰謝料  
       
⑥ 弁護士費用
      

物的損害

① 車両損害

② 格落ち損害(評価損)
      
③ 代車費用   
       
④ 休車損害